東京高等裁判所 昭和28年(う)828号 判決
被告人 金時玉
〔抄 録〕
弁護人の控訴趣意第一点について。
しかし原判決の挙示引用に係る標目の各証拠を綜合すれば原判示の事実は優にこれを認めるに足り事実誤認の疑は存しない。そして昭和二十七年政令第百二十七号第四条第二項にいう所の所持とは右条項所定の軍票を自己の事実上の支配内に置くことをいい、その支配が他人のためにするものであると自己のためにするものであることを問わないものと解すべく、況んやこれが処分権限の有無の如きはもとより右条項にいう所持の成否にはなんらの消長を及ぼすものではないと解すべきである。従つて合衆国軍隊等以外の者である被告人が原判示軍票を所持するに至つた以上前同条項に則り遅滞なくこれを日本銀行に寄託すべき義務があるのであるから原審が被告人の原判示の所為に対し原判決摘示の法令を適用したことは当然であつてなんら法令の解釈を誤つた違法はない。それゆえ論旨は理由がない。